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19世紀後半、エジソンが蓄音機を発明するまで音は録音して残しておくことは出来ませんでした(日本では明治時代)。しかし、それ以前につくられた楽曲でも現在も再現できるのです。それは楽譜のおかげなのです。
目で見ることができない”音”を紙に記録できるなんてなんてすごいことでしょうか。
五線譜式が確立して数百年ほとんど記譜方式は変わっておらず、しかも世界共通で言語が違っても時代が変わっても同じ楽譜で演奏が出来るという、まさに”夢の文字”といってよいでしょう。
苦手にしている人も多いですが要はそのかかれている記号の意味さえ理解していれば全然難しいことはありません。
しかし、ここで譜面のすべてを解説することはできません(膨大になってしまいますので)。とりあえず、譜面の左にあるあの記号に的を絞ってお話したいと思います。
では、見て行きましょう。 |
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まず、”五線譜”という文字通り五本の線を使うことになっています。この上に色々な記号を書いていくわけです。
このままではどの線がどの音を示しているかわかりません。ですので、まず音の基準となる線を決める必要があります。
ここであの見覚えのある記号が出てきます。 |
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おそらく、譜面に苦手意識を持ってしまった人の多くはこの記号の理解でつまづいてしまっているようです。
まず、すでにデザイン化してしまっている記号の元を知れば恐れることはありません。
おそらく、ラテン文字の筆記体が元になっていると推測されます。左のト音記号はG、ヘ音記号はFから変化していったと言われています。こんな感じでしょうか。 |
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ト音記号の変化は定かではありませんが、ヘ音記号の方はこんな感じだと思います。そうするとあの丸ぽち二つもちゃんと意味があるわけです。忘れないでやってくださいね。(^^;)
さて、”G”とか”ト”とかは何なのだということになります。
これらも苦手意識を持つ要因かもしれません。
わが国では明治時代に学校教育制度が整えられていく過程で音階には"いろは歌"の”イロハニホヘト”を使うことにしたのでありました。
しかし、結局とっつきにくかったのでしょうかイタリア語の”ドレミファソラシ(Do、Re、Mi、Fa、Sol、La、Si)”で指導を行うようになっていきました。これが日本人の感性にマッチし、音階といえばすっかり”ドレミ”に定着してしまいました。
今日、我々日本人が普段使うのはイタリア語の”ドレミファソラシ”、クラシック音楽ではドイツ語の”CDEFGAH(ツェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー・ハー)”、調号を示すときは日本語の”イロハニホヘト”、Popsなどでコードを扱うときは”CDEFGAB"と英語(米語)・・・
あぁ〜ハァ〜、こんなに使い分けを要求されるのは日本人ぐらいでしょうねぇ。(^^;)
とにかく、ト音記号のトはG(ソ)、ヘ音記号のへはF(ファ)と言うことなのです。イタリア語、英語、日本語の対応表を載せておきます。 |
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見ると気づくと思いますが音階は”ラ”から始まると覚えていれば"ABCDEFG"、"イロハニホヘト"とすぐに思い出せます。
さて、五線譜に戻りましょう。
何も基準がないあの五線譜に基準を与えるのがあの記号なのです。あの記号の描き始めをその記号の音にしましょうというだけの話なのです。 |
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つまり、ト音記号は下から2本目の線を”ソ”、へ音記号は上から2本目の線を”ファ”であるということを示しているのです。
判らなくなったらそういう風にたどっていくと”ドレミファソラシ”を導き出すことができるわけです。
なぜト音記号という半端な音を基準としているのか、なぜ下から2本目の線に置くのか・・・それは慣例でもうすっかり定着そうなっているとしか言えません。だから慣れるしかありません。
(ト音記号の下第一加線の”ド”とヘ音記号の上第一加線の”ド”がちょうど真ん中で重なるため見やすくなるためではないかと思われますが、どうでしょうね?)
しかし、絶対にそうしろと言うわけでもありません。例えば、おもちゃのパッケージやゲームでたまに見かけたりするものでこういうものがありました。 |
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ト音記号が真ん中にあります。おそらく、譜面に詳しくないデザイナーの方がデザイン的に見栄えいいからそうしたのでしょう。
でも、実はこれは必ずしも間違いではないのです。この場合、真ん中の線を”ソ”として読むことになります。この記号は一番上の線においてもいいし一番下の線においてもいいのです。置く場所に絶対的な規定はないのです。
でも、そんなにコロコロ基準を変えられるとなにやら面倒になりますね。伝わりにくいというか演奏しにくなりそう。(^^;)
下から2本目に置くのが世界的に定着してるのでそうした慣習に従っていた方が自分にも相手にも伝わりやすいと思いませんか?
譜面と言うのはもちろん自分のためでもありますが、他の人にも簡単に伝わりやすく演奏しやすく書くことが大事なのです。
譜面が苦手な人の中には独自の表記法を確立してしまう人もいるのですが、そうすると他の人に伝えることが難しくなってしまいます。
世界のほとんどの人にすんなり伝えられる共通フォーマットを身につけましょう。
じつは”ド”を基準とした”ハ音記号”というものもあることはあるのです。クラシックのオーケストラではも楽器によってはいまだに使われることもあるみたいですがやはり一般的ではありません。詳しくは楽典などを参照してみてください。 |
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